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東日本林業経済研究会@小菅村
今年の 東日本林業経済研究会 は新しい森林業の胎動を学ぶため、一泊二日で山梨県の小菅村にお世話になりました。初日はスタイリッシュな公民館で小菅村におけるこれまでの取り組みを学び、二日目の午前中に村内を見学しました。 小菅の湯の薪ボイラーに使用されている薪はこの木の駅で加工されています。写真のコンテナ一つが約1立米のスギ薪(灯油100Lに相当する熱量)です。 小菅の湯 では一日に約2立米が使われています。 いま村内にマウンテンバイクのトレイルを整備しています。作りながら遊ぶというスタイルはこれからの森林業に欠かせないことになりそうです。 源流大学 のスタッフの方々をはじめ、小菅村を案内くださったみなさまに心よりお礼申し上げます。 今回の研究会には韓国から友人の研究者のミンさんも参加してくれました。少子高齢化で山村が衰退しているのは共通の課題です。帰りに二人で檜原村の 森のおもちゃ美術館 にも寄ってきました。カフェから檜原村の集落を眺めながら、長かった酷暑の夏を振り返っていました。
飛騨高山の家具
30年ぶりに高山を訪れました。そのときは春の高山祭で観光客がたくさんいたのですが、外国人はほとんどいませんでした。写真のように、現在、古い町並みを散策している観光客の多くはインバウンドの外国人です。宮川朝市もとても賑わっていました。 今回の訪問の目的は、高山の家具メーカーに出荷されている不動のブナ材の実態を把握し、今後の可能性を模索することです。 ドイツなどヨーロッパから輸入されているビーチ材との競合、天然乾燥時の曲がりやカビの問題、安定的な供給など、問題点を学ぶことが出来ました。 一方で、ブナ材の家具の歴史は古く、大正期から曲木加工が発達してきたことや、ナチュラルな白い色が消費者に好まれていることなど、長所もたくさんありました。案内くださった各社のみなさまに心よりお礼申し上げます。 空いた時間に「 飛騨の里 」にお邪魔して、建ち並ぶ国指定重要文化財の古民家を見学することも出来ました。草花に覆われた茅葺屋根がノスタルジックです。写真の囲炉裏(旧田口家住宅、国指定重要文化財)は南飛騨地方に特徴的な長方形です。 調査先のMさんに教えてもらって、 国八食堂 で豆腐の鉄板焼をいただきました。間違いなくご飯がすすむ絶品メニューでした。なんだか囲炉裏のかたちに似ています。 すっかり夏バテ気味ですが、高山には一足先に秋の気配が訪れていました。厳しい夏はもうすぐ終わり、クズの花が咲き始めます。
学科説明会(オープンキャンパス)
地域生態システム学科の学科説明会(オープンキャンパス)が開催されました。今年度は広報委員を担当しているため、多くの教職員や学生といっしょにスタッフとして、午前と午後の2回、2会場で行われた説明会に参加しました。全部で約800名の高校生や保護者が足を運んでくれました。 会場内は冷房を効かせていましたが、一歩外に出たら汗が止まらない酷暑です。例年、農工大ではペットボトルではなく缶の水を参加者に配っています。これはマイクロプラスチックへの対策です。 ハッケンとコウケン もあちこちで大活躍です。緑が農学部でハッケン、青が工学部でコウケンです。 次のオープンキャンパスは10月19日のキャンパスハイクです。その頃にはだいぶ涼しくなっているでしょう。
笹岡正俊さんを偲ぶ会

東大林政時代の先輩だった笹岡正俊さんが4月9日に急逝されました。7月27日に 偲ぶ会 が関係者によって早稲田大学で開催されました。少しだけ早めに来て、すっかり綺麗になっているけど、どこか懐かしい早稲田のキャンパスを散策しました。セミが鳴いているのに静かです。 わたしが1999年に早稲田を出て、修士から東大林政に入ると、そこには農工大から来ていたあなたや田中求さんといった先輩がいて、同期や後輩にも数名の農工大の出身者がいました。みんな明るくて、自由で、活発で、すこし乱暴で、とても気が合いました。その農工大ですでに9年も教員をしているのはなにか不思議な感じです。 府中キャンパスの1号館の北側にある小さな石碑には「 雲と自由の住むところ 」と刻まれています。あなたが大学生の時にこの石碑に気がついていたかは分かりませんが、東大林政で出会ったあなたや農工大の出身者に感じた雰囲気は、この「雲と自由の住むところ」と重なります。 のんびりと自由を謳歌する雰囲気はいまの大学にはありませんが、あなたは、一足先に自由な雲の上から人々の平和や幸せについてじっくりと考えてくれているに違いありません。偲ぶ会を準備くださったみなさま、本当にありがとうございました。
森林、気候変動、環境史に関する国際セミナー

うだるような暑さの中、駒澤大学にお邪魔しました。雨を降らせるのにはいったいどうしたら良いのでしょうか。 かれこれ10年来の付き合いになる米国人研究者の二人が来日したのに合わせて 国際セミナー を開催するためです。この二人(ベネットさんとバートンさん)は、森林と降雨の関係についての論争の展開を18世紀から現在まで追跡した、 Saving the World: How Forests Inspired Global Efforts to Stop Climate Change という本を昨年出版しました。今回、築地書館から邦訳 『雨を操る 森林保護思想の変遷から読み解く気候安定化への道』 が出版されたことに合わせて来日されました。 帝国林業や環境史を専門としている国内の研究者に呼びかけて国際セミナーを企画し、この本の内容について議論しました。参加くださった方々に心より感謝申し上げます。 写真は駒澤大学の旧図書館で現在は禅文化歴史博物館になっています。1928年の建築で、フランク・ロイド・ライトの旧帝国ホテルなどに影響を受けているとのこと。美しい建築物です。
山梨市でワインを学ぶ
地域社会システム調査実習の現地実習で山梨市に一泊二日でお邪魔しました。今年は学生36名、TA・教員7名、総勢43名での実習となりました。去年から写真の旧牧丘第二小学校に宿泊させていただいています。 初日は「街の駅やまなし」で山梨市の職員の方たちから市の概況や世界農業遺産、農産物についてレクチャーを受けてから、フルーツ公園で開催中の「日本ワイン歴史展」を見学しました。 明治期に政府や山梨県などはワイン産業が発展することにかなりの期待をしていたものの、うまく軌道に乗せることができなかったようです。現在の日本ワインづくりはこのような歴史があってこそと思うと、感慨深いです。 シンワフーズケミカルはワインづくりに必要な機械や資材を販売する会社です。その「 ワインづくり研究所 」では、機械などを実際に使用してワインづくりを試験的に行い、販売しています。輸入している機械や樽などを見学させていただきました。 鼓川温泉 で汗を流した後、今年はおほうとうづくりに挑戦しました。地粉からうどんを作って、煮干しとじゃがいもで出汁をとり、美味しいおほうとうができました。市の教育長にも来ていただいて、懇親を兼ねた夕食会となりました。 翌日は午前中に豊原ファームで畑の畝立て、獣害柵の設置、さつまいもの植え付けなどを行いました。豊原ファームから景観を楽しみながら歩いて小学校に戻り、午後は東晨洋酒さんからこだわりのワインづくりのお話を伺いました。最後にフルーツグロアー澤登農園で有機農法によるワイン用ブドウづくりを見学して、解散となりました。 好天にも恵まれて、無事に現地実習を実施することができました。今年も山梨市の関係者のみなさまのご協力に心より感謝申し上げます。
新木場で木材を学ぶ

雨こそ降らねど蒸し蒸しした梅雨の候、ゼミのエクスカーションで久しぶりに新木場に参りました。まずは 木材・合板博物館 で、木材・合板の特性や種類について学びます。突然の訪問にもかかわらず館長を始め、スタッフの方々に大変丁寧に案内していただきました。 この「合板の用途」という解説パネルは、とても分かりやすくて、このまま講義に使いたいくらいです。 次に 木材会館 を見学させていただきました。建物にふんだんに用いられている木材はすべて国産材だそうです。7階の檜のテラスからはスカイツリーがよく見えました。天気が良いと富士山も見えるそうです。 木材会館の方に勧められて、おしゃれなカフェと雑貨屋の CASICA で休憩しました。 東京木材問屋協同組合 の組合員でもある「福清」さんの倉庫だったところをリノベーションしたとのことです。 最後に、木材会館の裏手にある貯木場跡に行きました。かつてはたくさんのラワン材が浮かんでいたとのことです。近隣の会社員たちの喫煙場になっていて、違う意味のモクモクが潮の香りを消していたのは残念でしたが、海風が心地よい夕方でした。 木材を学ぶならばまずはこの新木場を散策するべきですね。ご案内いただいた関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。