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野間の大けやき

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家族の用事で大阪の池田に出かけました。少し足をのばして能勢にある「野間の大けやき」を見に行きました。ノスタルジックな田園風景のなかにそびえる大変立派なケヤキです。毎年、アオバズクが子育てをするそうです。残念ながら、今年は先月末に親子で飛び立ったばかりで、会えませんでした。 樹齢1000年以上と推定されるこのケヤキがある場所は、もとは「蟻無宮」という神社の境内でした。このケヤキは神の憑り代、すなわち御神体というべき神木だったとのことです。承久2(1220)年に神社が創祀したとのことなので、おそらくケヤキが先にあったのでしょう。「神木」とはなにかを少し勉強したいと思っています。

学科説明会(オープンキャンパス)

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地域生態システム学科の学科説明会(オープンキャンパス)が開催されました。今年度は広報委員を担当しているため、多くの教職員や学生といっしょにスタッフとして、午前と午後の2回、2会場で行われた説明会に参加しました。全部で約800名の高校生や保護者が足を運んでくれました。 会場内は冷房を効かせていましたが、一歩外に出たら汗が止まらない酷暑です。例年、農工大ではペットボトルではなく缶の水を参加者に配っています。これはマイクロプラスチックへの対策です。 ハッケンとコウケン もあちこちで大活躍です。緑が農学部でハッケン、青が工学部でコウケンです。 次のオープンキャンパスは10月19日のキャンパスハイクです。その頃にはだいぶ涼しくなっているでしょう。

笹岡正俊さんを偲ぶ会

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東大林政時代の先輩だった笹岡正俊さんが4月9日に急逝されました。7月27日に 偲ぶ会 が関係者によって早稲田大学で開催されました。少しだけ早めに来て、すっかり綺麗になっているけど、どこか懐かしい早稲田のキャンパスを散策しました。セミが鳴いているのに静かです。 わたしが1999年に早稲田を出て、修士から東大林政に入ると、そこには農工大から来ていたあなたや田中求さんといった先輩がいて、同期や後輩にも数名の農工大の出身者がいました。みんな明るくて、自由で、活発で、すこし乱暴で、とても気が合いました。その農工大ですでに9年も教員をしているのはなにか不思議な感じです。 府中キャンパスの1号館の北側にある小さな石碑には「 雲と自由の住むところ 」と刻まれています。あなたが大学生の時にこの石碑に気がついていたかは分かりませんが、東大林政で出会ったあなたや農工大の出身者に感じた雰囲気は、この「雲と自由の住むところ」と重なります。 のんびりと自由を謳歌する雰囲気はいまの大学にはありませんが、あなたは、一足先に自由な雲の上から人々の平和や幸せについてじっくりと考えてくれているに違いありません。偲ぶ会を準備くださったみなさま、本当にありがとうございました。

カラムシにアカタテハ

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7月になりました。まだ梅雨は明けていないのですが、真夏のような猛暑がすでに始まっています。中庭のカラムシにアカタテハが巣を作っていました。葉っぱで上手に部屋を作ってそのなかで過ごしています。木陰で涼しそう。隠れているつもりなのかは幼虫に聞いてみないとわかりませんが、カラムシの葉裏が白いので、巣はとても目立ちますね。

森林、気候変動、環境史に関する国際セミナー

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うだるような暑さの中、駒澤大学にお邪魔しました。雨を降らせるのにはいったいどうしたら良いのでしょうか。 かれこれ10年来の付き合いになる米国人研究者の二人が来日したのに合わせて 国際セミナー を開催するためです。この二人(ベネットさんとバートンさん)は、森林と降雨の関係についての論争の展開を18世紀から現在まで追跡した、 Saving the World: How Forests Inspired Global Efforts to Stop Climate Change  という本を昨年出版しました。今回、築地書館から邦訳 『雨を操る 森林保護思想の変遷から読み解く気候安定化への道』 が出版されたことに合わせて来日されました。 帝国林業や環境史を専門としている国内の研究者に呼びかけて国際セミナーを企画し、この本の内容について議論しました。参加くださった方々に心より感謝申し上げます。 写真は駒澤大学の旧図書館で現在は禅文化歴史博物館になっています。1928年の建築で、フランク・ロイド・ライトの旧帝国ホテルなどに影響を受けているとのこと。美しい建築物です。

山梨市でワインを学ぶ

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地域社会システム調査実習の現地実習で山梨市に一泊二日でお邪魔しました。今年は学生36名、TA・教員7名、総勢43名での実習となりました。去年から写真の旧牧丘第二小学校に宿泊させていただいています。 初日は「街の駅やまなし」で山梨市の職員の方たちから市の概況や世界農業遺産、農産物についてレクチャーを受けてから、フルーツ公園で開催中の「日本ワイン歴史展」を見学しました。 明治期に政府や山梨県などはワイン産業が発展することにかなりの期待をしていたものの、うまく軌道に乗せることができなかったようです。現在の日本ワインづくりはこのような歴史があってこそと思うと、感慨深いです。 シンワフーズケミカルはワインづくりに必要な機械や資材を販売する会社です。その「 ワインづくり研究所 」では、機械などを実際に使用してワインづくりを試験的に行い、販売しています。輸入している機械や樽などを見学させていただきました。 鼓川温泉 で汗を流した後、今年はおほうとうづくりに挑戦しました。地粉からうどんを作って、煮干しとじゃがいもで出汁をとり、美味しいおほうとうができました。市の教育長にも来ていただいて、懇親を兼ねた夕食会となりました。 翌日は午前中に豊原ファームで畑の畝立て、獣害柵の設置、さつまいもの植え付けなどを行いました。豊原ファームから景観を楽しみながら歩いて小学校に戻り、午後は東晨洋酒さんからこだわりのワインづくりのお話を伺いました。最後にフルーツグロアー澤登農園で有機農法によるワイン用ブドウづくりを見学して、解散となりました。 好天にも恵まれて、無事に現地実習を実施することができました。今年も山梨市の関係者のみなさまのご協力に心より感謝申し上げます。  

新木場で木材を学ぶ

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雨こそ降らねど蒸し蒸しした梅雨の候、ゼミのエクスカーションで久しぶりに新木場に参りました。まずは 木材・合板博物館 で、木材・合板の特性や種類について学びます。突然の訪問にもかかわらず館長を始め、スタッフの方々に大変丁寧に案内していただきました。  この「合板の用途」という解説パネルは、とても分かりやすくて、このまま講義に使いたいくらいです。 次に 木材会館 を見学させていただきました。建物にふんだんに用いられている木材はすべて国産材だそうです。7階の檜のテラスからはスカイツリーがよく見えました。天気が良いと富士山も見えるそうです。 木材会館の方に勧められて、おしゃれなカフェと雑貨屋の CASICA で休憩しました。 東京木材問屋協同組合 の組合員でもある「福清」さんの倉庫だったところをリノベーションしたとのことです。 最後に、木材会館の裏手にある貯木場跡に行きました。かつてはたくさんのラワン材が浮かんでいたとのことです。近隣の会社員たちの喫煙場になっていて、違う意味のモクモクが潮の香りを消していたのは残念でしたが、海風が心地よい夕方でした。 木材を学ぶならばまずはこの新木場を散策するべきですね。ご案内いただいた関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。

林業遺産へ行こう

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文一総合出版から柴崎茂光編『 林業遺産へ行こう 』が出版されました。日本各地の林業遺産に実際に行って、楽しんでいただけるように、コースや見どころを紹介しています。たくさんのカラー写真が掲載されているので、手にとって眺めるだけでも楽しい本になっています。飯田市の遠山森林鉄道のコースなどを担当しました。 森林学会による 林業遺産 は学会100周年事業の一つとして始まりました。最新の2024年度の選定は、 旧鹿児島貯木場:屋久杉等海上輸送施設遺構(N0.52) と、 現在に続く「岩手木炭」の伝統的な生産技術(No.53) です。旧鹿児島貯木場などについて、読売新聞に丁寧な 記事 が掲載されています。 森林学会では、毎年、林業遺産が選定される総会のあとに、公開講演会が開催されます。今年は、「 人文科学から森林科学へのアプローチ 」という内容だったので、学生といっしょに参加してきました。信仰や妖怪が林学に与えている影響(あるいは林学が信仰や妖怪に与えている影響)を議論するのはなんだか新鮮な気分でした。

岩手でゼミ合宿

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薫風5月、岩手県立大学のゲストハウスでゼミ合宿を行ってきました。県立大に着任して間もない、研究室OBの周平先生と一緒に滝沢市と盛岡市の各地を訪問してきました。県立大の周辺からは残雪の美しい岩手山を拝むことができました。 初日は、林業経済学会でいつもお世話になっている岩手大学の先生方に学生を紹介して、アドバイスをいただいたりした後、 農業教育資料館 にお邪魔しました。 この資料館の建物は、1912(大正元)年に建てられた旧盛岡高等農林学校の本館です。岩手大学はこの旧盛岡高等農林を母体にして戦後に国立大学として創立しました。官立の高等農林学校としては全国で最も早く、1902(明治35)年の創立です。この本館が建ってまもなくの1915(大正4)年に宮沢賢治が入学しています。賢治とその指導をした関豊太郎の関係などの展示をゆっくりと見学しました。 岩手県立大学のゲストハウスは設備の整った施設で、学生たちと合宿するのに最適でした。ゲストハウスだけでなく県立大のキャンパスは県内外の学生たちが学ぶ環境として素晴らしいところでした。 二日目は早起きして、ゲストハウスに隣接する滝沢森林公園で自然観察を楽しみました。ここは公園というよりも歩きやすい勾配のない森林です。チゴユリやエンレイソウが咲いている林内のあちらこちらで、キビタキが鳴き声と姿(この動画では分かりませんが、、、)をみせてくれました。ネイチャーセンターでは餌場や水場を設置してあって、窓越しにアカゲラやリスも観察できました。   午後は松園にある 岩手県立博物館 にもお邪魔しました。自然史と社会史のバランスの良く取れた常設展示のほか、テーマ展では博物館の お宝 に出会うこともできました。野外には2棟(曲屋と直屋)の古民家が展示されていて、 曲屋(岩泉) を川崎の民家園のもの(紫波)と比較すると、馬屋の位置が逆でした。ただ、屋内が暗いので、足元や頭上には要注意です。 初日は ここ 、二日目は ここ で、久しぶりに本場の冷麺を楽しみました。お腹が空いていたのもありますが、初日にお邪魔した写真の冷麺はとても美味しく、大盛りが一瞬で消えました。 東北新幹線に乗ってしまえばすぐですし、今回の訪問をきっかけにして岩手での調査研究を展開できたらとても嬉しいです。県立大、岩大の関係者のみなさまに改めて感謝申し上げます。

森林社会学

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東大農学部で「森林社会学」の集中講義を担当することになって、この週末の二日間を1号館の6番で過ごしました。台湾の阿里山の話もしましたが、この東大農学部正門には、もともと、 明治神宮の鳥居と同じように 、タイワンヒノキが使われていました。院生時代の2003年に木曽ヒノキに取り替えられたことはよく憶えていて、弥生講堂の裏に古い門がしばらく置かれていました。 さて、集中講義「森林社会学」の方は、予定した内容が7コマに収まらなかっただけでなく、最後の方は疲れも出て、話がグダグダにになってしまいました。ただ、今回、三井昭二先生の書かれた『森林社会学への道』や、内山節編(1989)『《森林社会学》宣言』を改めて手にとって、「森林社会学」とは何かを考えることができました。 『《森林社会学》宣言』の「はしがき」には次のように書かれています。森林社会学とは、「自然的=社会的存在としての森林を、ときに社会史的視点から、ときに地域社会の視点から、ときに自然史的視点から、ときに森林と人間の関係史的視点からとらえていくことによって、いわば森林と人間の社会との関係論を組み立て直そうという試み」であると。これは環境史の考え方にとても近く、先見の明に驚かされます。なぜ歴史に注目しているのかについては以下のように述べられています。 「森林の歴史は人間の歴史でもあったのではなかったか。人間と森林のかかわりかたが森林の形態を変え、現代における森林の状況は、現代における私たちの文明の状況を指し示している。とすれば、森林と人間たちの社会の関係を、その根源にまで遡ってみつめなおしていかなければ、森林と人間の共生を語ることはできないだろう」 この部分は共感するところもありますが、十分に理解できないところもあります。ただ、「森林社会学」(「森林社会史」と言い換えたほうが良いかもしれませんが)は、これまで自分が取り組んできたことにかなり近いと言えそうです。というよりは、若いときに読んだこの本からの影響が小さくなかったのかもしれません。