投稿

カラムシにアカタテハ

イメージ
7月になりました。まだ梅雨は明けていないのですが、真夏のような猛暑がすでに始まっています。中庭のカラムシにアカタテハが巣を作っていました。葉っぱで上手に部屋を作ってそのなかで過ごしています。木陰で涼しそう。隠れているつもりなのかは幼虫に聞いてみないとわかりませんが、カラムシの葉裏が白いので、巣はとても目立ちますね。

森林、気候変動、環境史に関する国際セミナー

イメージ
うだるような暑さの中、駒澤大学にお邪魔しました。雨を降らせるのにはいったいどうしたら良いのでしょうか。 かれこれ10年来の付き合いになる米国人研究者の二人が来日したのに合わせて 国際セミナー を開催するためです。この二人(ベネットさんとバートンさん)は、森林と降雨の関係についての論争の展開を18世紀から現在まで追跡した、 Saving the World: How Forests Inspired Global Efforts to Stop Climate Change  という本を昨年出版しました。今回、築地書館から邦訳 『雨を操る 森林保護思想の変遷から読み解く気候安定化への道』 が出版されたことに合わせて来日されました。 帝国林業や環境史を専門としている国内の研究者に呼びかけて国際セミナーを企画し、この本の内容について議論しました。参加くださった方々に心より感謝申し上げます。 写真は駒澤大学の旧図書館で現在は禅文化歴史博物館になっています。1928年の建築で、フランク・ロイド・ライトの旧帝国ホテルなどに影響を受けているとのこと。美しい建築物です。

山梨市でワインを学ぶ

イメージ
地域社会システム調査実習の現地実習で山梨市に一泊二日でお邪魔しました。今年は学生36名、TA・教員7名、総勢43名での実習となりました。去年から写真の旧牧丘第二小学校に宿泊させていただいています。 初日は「街の駅やまなし」で山梨市の職員の方たちから市の概況や世界農業遺産、農産物についてレクチャーを受けてから、フルーツ公園で開催中の「日本ワイン歴史展」を見学しました。 明治期に政府や山梨県などはワイン産業が発展することにかなりの期待をしていたものの、うまく軌道に乗せることができなかったようです。現在の日本ワインづくりはこのような歴史があってこそと思うと、感慨深いです。 シンワフーズケミカルはワインづくりに必要な機械や資材を販売する会社です。その「 ワインづくり研究所 」では、機械などを実際に使用してワインづくりを試験的に行い、販売しています。輸入している機械や樽などを見学させていただきました。 鼓川温泉 で汗を流した後、今年はおほうとうづくりに挑戦しました。地粉からうどんを作って、煮干しとじゃがいもで出汁をとり、美味しいおほうとうができました。市の教育長にも来ていただいて、懇親を兼ねた夕食会となりました。 翌日は午前中に豊原ファームで畑の畝立て、獣害柵の設置、さつまいもの植え付けなどを行いました。豊原ファームから景観を楽しみながら歩いて小学校に戻り、午後は東晨洋酒さんからこだわりのワインづくりのお話を伺いました。最後にフルーツグロアー澤登農園で有機農法によるワイン用ブドウづくりを見学して、解散となりました。 好天にも恵まれて、無事に現地実習を実施することができました。今年も山梨市の関係者のみなさまのご協力に心より感謝申し上げます。  

新木場で木材を学ぶ

イメージ
雨こそ降らねど蒸し蒸しした梅雨の候、ゼミのエクスカーションで久しぶりに新木場に参りました。まずは 木材・合板博物館 で、木材・合板の特性や種類について学びます。突然の訪問にもかかわらず館長を始め、スタッフの方々に大変丁寧に案内していただきました。  この「合板の用途」という解説パネルは、とても分かりやすくて、このまま講義に使いたいくらいです。 次に 木材会館 を見学させていただきました。建物にふんだんに用いられている木材はすべて国産材だそうです。7階の檜のテラスからはスカイツリーがよく見えました。天気が良いと富士山も見えるそうです。 木材会館の方に勧められて、おしゃれなカフェと雑貨屋の CASICA で休憩しました。 東京木材問屋協同組合 の組合員でもある「福清」さんの倉庫だったところをリノベーションしたとのことです。 最後に、木材会館の裏手にある貯木場跡に行きました。かつてはたくさんのラワン材が浮かんでいたとのことです。近隣の会社員たちの喫煙場になっていて、違う意味のモクモクが潮の香りを消していたのは残念でしたが、海風が心地よい夕方でした。 木材を学ぶならばまずはこの新木場を散策するべきですね。ご案内いただいた関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。

林業遺産へ行こう

イメージ
文一総合出版から柴崎茂光編『 林業遺産へ行こう 』が出版されました。日本各地の林業遺産に実際に行って、楽しんでいただけるように、コースや見どころを紹介しています。たくさんのカラー写真が掲載されているので、手にとって眺めるだけでも楽しい本になっています。飯田市の遠山森林鉄道のコースなどを担当しました。 森林学会による 林業遺産 は学会100周年事業の一つとして始まりました。最新の2024年度の選定は、 旧鹿児島貯木場:屋久杉等海上輸送施設遺構(N0.52) と、 現在に続く「岩手木炭」の伝統的な生産技術(No.53) です。旧鹿児島貯木場などについて、読売新聞に丁寧な 記事 が掲載されています。 森林学会では、毎年、林業遺産が選定される総会のあとに、公開講演会が開催されます。今年は、「 人文科学から森林科学へのアプローチ 」という内容だったので、学生といっしょに参加してきました。信仰や妖怪が林学に与えている影響(あるいは林学が信仰や妖怪に与えている影響)を議論するのはなんだか新鮮な気分でした。

岩手でゼミ合宿

イメージ
薫風5月、岩手県立大学のゲストハウスでゼミ合宿を行ってきました。県立大に着任して間もない、研究室OBの周平先生と一緒に滝沢市と盛岡市の各地を訪問してきました。県立大の周辺からは残雪の美しい岩手山を拝むことができました。 初日は、林業経済学会でいつもお世話になっている岩手大学の先生方に学生を紹介して、アドバイスをいただいたりした後、 農業教育資料館 にお邪魔しました。 この資料館の建物は、1912(大正元)年に建てられた旧盛岡高等農林学校の本館です。岩手大学はこの旧盛岡高等農林を母体にして戦後に国立大学として創立しました。官立の高等農林学校としては全国で最も早く、1902(明治35)年の創立です。この本館が建ってまもなくの1915(大正4)年に宮沢賢治が入学しています。賢治とその指導をした関豊太郎の関係などの展示をゆっくりと見学しました。 岩手県立大学のゲストハウスは設備の整った施設で、学生たちと合宿するのに最適でした。ゲストハウスだけでなく県立大のキャンパスは県内外の学生たちが学ぶ環境として素晴らしいところでした。 二日目は早起きして、ゲストハウスに隣接する滝沢森林公園で自然観察を楽しみました。ここは公園というよりも歩きやすい勾配のない森林です。チゴユリやエンレイソウが咲いている林内のあちらこちらで、キビタキが鳴き声と姿(この動画では分かりませんが、、、)をみせてくれました。ネイチャーセンターでは餌場や水場を設置してあって、窓越しにアカゲラやリスも観察できました。   午後は松園にある 岩手県立博物館 にもお邪魔しました。自然史と社会史のバランスの良く取れた常設展示のほか、テーマ展では博物館の お宝 に出会うこともできました。野外には2棟(曲屋と直屋)の古民家が展示されていて、 曲屋(岩泉) を川崎の民家園のもの(紫波)と比較すると、馬屋の位置が逆でした。ただ、屋内が暗いので、足元や頭上には要注意です。 初日は ここ 、二日目は ここ で、久しぶりに本場の冷麺を楽しみました。お腹が空いていたのもありますが、初日にお邪魔した写真の冷麺はとても美味しく、大盛りが一瞬で消えました。 東北新幹線に乗ってしまえばすぐですし、今回の訪問をきっかけにして岩手での調査研究を展開できたらとても嬉しいです。県立大、岩大の関係者のみなさまに改めて感謝申し上げます。

森林社会学

イメージ
東大農学部で「森林社会学」の集中講義を担当することになって、この週末の二日間を1号館の6番で過ごしました。台湾の阿里山の話もしましたが、この東大農学部正門には、もともと、 明治神宮の鳥居と同じように 、タイワンヒノキが使われていました。院生時代の2003年に木曽ヒノキに取り替えられたことはよく憶えていて、弥生講堂の裏に古い門がしばらく置かれていました。 さて、集中講義「森林社会学」の方は、予定した内容が7コマに収まらなかっただけでなく、最後の方は疲れも出て、話がグダグダにになってしまいました。ただ、今回、三井昭二先生の書かれた『森林社会学への道』や、内山節編(1989)『《森林社会学》宣言』を改めて手にとって、「森林社会学」とは何かを考えることができました。 『《森林社会学》宣言』の「はしがき」には次のように書かれています。森林社会学とは、「自然的=社会的存在としての森林を、ときに社会史的視点から、ときに地域社会の視点から、ときに自然史的視点から、ときに森林と人間の関係史的視点からとらえていくことによって、いわば森林と人間の社会との関係論を組み立て直そうという試み」であると。これは環境史の考え方にとても近く、先見の明に驚かされます。なぜ歴史に注目しているのかについては以下のように述べられています。 「森林の歴史は人間の歴史でもあったのではなかったか。人間と森林のかかわりかたが森林の形態を変え、現代における森林の状況は、現代における私たちの文明の状況を指し示している。とすれば、森林と人間たちの社会の関係を、その根源にまで遡ってみつめなおしていかなければ、森林と人間の共生を語ることはできないだろう」 この部分は共感するところもありますが、十分に理解できないところもあります。ただ、「森林社会学」(「森林社会史」と言い換えたほうが良いかもしれませんが)は、これまで自分が取り組んできたことにかなり近いと言えそうです。というよりは、若いときに読んだこの本からの影響が小さくなかったのかもしれません。

カルミアにオオミズアオ

イメージ
第1講義棟の横にある池の近くに2本のカルミアの木があります。こんぺいとうのような蕾が開いて花が咲きだしました。毎年、こんなにかわいい花を咲かせていたのに、ついこのあいだまでこの木の存在を知りませんでした。 去年の秋も終わりの頃、オオミズアオの終齢幼虫がこの木についていることを院生のSくんとUさんに教えてもらったのですが、幹を見ても、葉っぱを見ても、木の名前がすぐに分かりませんでした。図鑑をいろいろ調べて、ようやくカルミアという名前にたどり着きました。 庭木として植栽されるカルミアは、アメリカ原産のツツジ科で、葉っぱにはグラヤノトキシンという有毒成分を含みます。アセビやネジキにもグラヤノトキシンが含まれているそうで、アセビはオオミズアオの食樹の一つです。家に持ち帰った終齢幼虫はすぐに蛹になって、ときどきゴソゴソと音を立てながら越冬しました。一昨日、繭をぶちやぶって出てきて、綺麗に羽根を伸ばしました。

キスゲフェスティバル

イメージ
浅間山のキスゲフェスティバルに出かけてきました。ムサシノキスゲが綺麗に咲いていました。今年は例年より季節が一週間くらい遅いようです。不動の 江上げ も今年は11日とのこと。 ホウチャクソウも咲き始めたところのようです。あと一週間くらいは花々を楽しめそうです。

イチハツの咲く茅葺き屋根

イメージ
ゼミのエクスカーションで 川崎市立日本民家園 にお邪魔しました。茅葺き屋根の上には紫色のイチハツが咲いています。中国原産のイチハツはアヤメ科のなかでもいち早く咲き出すもので、火事や台風からのお守りとして茅葺き屋根の上に植えられる風習が古くからあったそうです。 タイミングよく、「信越の村」5軒をボランティアの案内で見学することができました。写真は重要文化財の江向家住宅です。富山の五箇山の民家は「庄川本流系」と「利賀系」に分類され、いずれも切妻造(入母屋造風)ですが、江向家住宅のような「庄川本流系」は妻入(正面の妻に入口がある)に特徴があります。一方で、すぐ近くにある野原家のような「利賀系」では妻側ではなく屋根側(横側)に入口があります。 4月末の好天に恵まれて、ガビチョウやウグイスが鳴くなか、のんびりと4時間ほど民家を満喫してきました。白川郷や大内宿、美山といった現地で保存されている場所も素晴らしいですが、全国から移築・復元・保存し、丁寧に解説や展示がなされている川崎市立日本民家園はもっと評価されて良い場所です。ただ、混雑すると困るので、知る人ぞ知る場所で良いかなとも。