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6月, 2025の投稿を表示しています

森林、気候変動、環境史に関する国際セミナー

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うだるような暑さの中、駒澤大学にお邪魔しました。雨を降らせるのにはいったいどうしたら良いのでしょうか。 かれこれ10年来の付き合いになる米国人研究者の二人が来日したのに合わせて 国際セミナー を開催するためです。この二人(ベネットさんとバートンさん)は、森林と降雨の関係についての論争の展開を18世紀から現在まで追跡した、 Saving the World: How Forests Inspired Global Efforts to Stop Climate Change  という本を昨年出版しました。今回、築地書館から邦訳 『雨を操る 森林保護思想の変遷から読み解く気候安定化への道』 が出版されたことに合わせて来日されました。 帝国林業や環境史を専門としている国内の研究者に呼びかけて国際セミナーを企画し、この本の内容について議論しました。参加くださった方々に心より感謝申し上げます。 写真は駒澤大学の旧図書館で現在は禅文化歴史博物館になっています。1928年の建築で、フランク・ロイド・ライトの旧帝国ホテルなどに影響を受けているとのこと。美しい建築物です。

山梨市でワインを学ぶ

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地域社会システム調査実習の現地実習で山梨市に一泊二日でお邪魔しました。今年は学生36名、TA・教員7名、総勢43名での実習となりました。去年から写真の旧牧丘第二小学校に宿泊させていただいています。 初日は「街の駅やまなし」で山梨市の職員の方たちから市の概況や世界農業遺産、農産物についてレクチャーを受けてから、フルーツ公園で開催中の「日本ワイン歴史展」を見学しました。 明治期に政府や山梨県などはワイン産業が発展することにかなりの期待をしていたものの、うまく軌道に乗せることができなかったようです。現在の日本ワインづくりはこのような歴史があってこそと思うと、感慨深いです。 シンワフーズケミカルはワインづくりに必要な機械や資材を販売する会社です。その「 ワインづくり研究所 」では、機械などを実際に使用してワインづくりを試験的に行い、販売しています。輸入している機械や樽などを見学させていただきました。 鼓川温泉 で汗を流した後、今年はおほうとうづくりに挑戦しました。地粉からうどんを作って、煮干しとじゃがいもで出汁をとり、美味しいおほうとうができました。市の教育長にも来ていただいて、懇親を兼ねた夕食会となりました。 翌日は午前中に豊原ファームで畑の畝立て、獣害柵の設置、さつまいもの植え付けなどを行いました。豊原ファームから景観を楽しみながら歩いて小学校に戻り、午後は東晨洋酒さんからこだわりのワインづくりのお話を伺いました。最後にフルーツグロアー澤登農園で有機農法によるワイン用ブドウづくりを見学して、解散となりました。 好天にも恵まれて、無事に現地実習を実施することができました。今年も山梨市の関係者のみなさまのご協力に心より感謝申し上げます。  

新木場で木材を学ぶ

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雨こそ降らねど蒸し蒸しした梅雨の候、ゼミのエクスカーションで久しぶりに新木場に参りました。まずは 木材・合板博物館 で、木材・合板の特性や種類について学びます。突然の訪問にもかかわらず館長を始め、スタッフの方々に大変丁寧に案内していただきました。  この「合板の用途」という解説パネルは、とても分かりやすくて、このまま講義に使いたいくらいです。 次に 木材会館 を見学させていただきました。建物にふんだんに用いられている木材はすべて国産材だそうです。7階の檜のテラスからはスカイツリーがよく見えました。天気が良いと富士山も見えるそうです。 木材会館の方に勧められて、おしゃれなカフェと雑貨屋の CASICA で休憩しました。 東京木材問屋協同組合 の組合員でもある「福清」さんの倉庫だったところをリノベーションしたとのことです。 最後に、木材会館の裏手にある貯木場跡に行きました。かつてはたくさんのラワン材が浮かんでいたとのことです。近隣の会社員たちの喫煙場になっていて、違う意味のモクモクが潮の香りを消していたのは残念でしたが、海風が心地よい夕方でした。 木材を学ぶならばまずはこの新木場を散策するべきですね。ご案内いただいた関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。

林業遺産へ行こう

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文一総合出版から柴崎茂光編『 林業遺産へ行こう 』が出版されました。日本各地の林業遺産に実際に行って、楽しんでいただけるように、コースや見どころを紹介しています。たくさんのカラー写真が掲載されているので、手にとって眺めるだけでも楽しい本になっています。飯田市の遠山森林鉄道のコースなどを担当しました。 森林学会による 林業遺産 は学会100周年事業の一つとして始まりました。最新の2024年度の選定は、 旧鹿児島貯木場:屋久杉等海上輸送施設遺構(N0.52) と、 現在に続く「岩手木炭」の伝統的な生産技術(No.53) です。旧鹿児島貯木場などについて、読売新聞に丁寧な 記事 が掲載されています。 森林学会では、毎年、林業遺産が選定される総会のあとに、公開講演会が開催されます。今年は、「 人文科学から森林科学へのアプローチ 」という内容だったので、学生といっしょに参加してきました。信仰や妖怪が林学に与えている影響(あるいは林学が信仰や妖怪に与えている影響)を議論するのはなんだか新鮮な気分でした。