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9月, 2024の投稿を表示しています

カラマツと柴犬のふるさとへ

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東大林政の院生Kくんに誘われて東大林政S先生と研究室院生Uさんと一緒に長野県の川上村に調査に出かけました。 「余が郷、落葉松の産地を以て名あり」。明治32年に『 落葉松栽培法 』を著した実業家の井出喜重は、そのころすでにカラマツの種子の産地として有名であった川上村の人でした。この本は種子販売をするにあたって口頭で伝えていた栽培法を出版したものです。川上村文化センターの2階には村の歴史が展示されていて、そこに井出の『種子販売人名録』があり、誰に販売したのかが一目瞭然です。北海道や内地だけでなく朝鮮や樺太へも販売されています。 明治22年に8村(居倉村、原村、御所平村、大深山村、秋山村、梓山村、川端下村、大明村樋沢組)が合併して誕生した川上村はその後に合併することなく現在まで続いている自治体です。8つの前村の入会林野は大正13年にいったん川上村に統一されるのですが、昭和9年の「追加協定書」によって、1/3を川上村に統一する一方で、2/3を8つの「林野保護組合」に残し、さらにそのうち5割まではいつでも各組合員に無償譲渡できることになりました。林業総合センターにはそうした経緯を含めた林野の変遷が壁一面の展示で説明してあり、なかなか読み応えがありました。 ゆるキャラの レタ助 はそこらじゅうにいましたが、もう一つの目的である川上犬には展示舎改修のため残念ながら会えませんでした。川上犬は信州柴犬とも言われる小型日本犬で、県の天然記念物として保護されていますが、現在、頭数が減少しています。それでも、今回、天然記念物指定に至る経緯を正確に知ることができました。 川上村は実はおそばでも有名です。高齢のご夫婦だけで切り盛りしている善慶庵にお昼にお邪魔しました。標高1000mの寒冷地に育つソバの実で打ったおそばはとても甘く美味しかったです。サービスでレタスサラダも出してくれました。いまはカラマツではなくレタスで名を馳せる川上村です。帰り際にふと窓の上を見たら、以前、飼育されていたと思しき川上犬の写真が飾られていました。 インタビューにご協力いただいた関係者のみなさまに心よりお礼申し上げます。いろいろ調べたいことがでてきたので、また近いうちにお邪魔できればと思います。

ハサカケ

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実りの秋です。上越市名立不動のハサカケを研究室の院生全員とT名誉教授とでお手伝いしてきました。以前はどこの農家もハサカケをして稲を乾燥させていましたが、コンバインの普及によって、いまハサカケを続けているのは一軒だけです。バインダーで稲刈りをして、ハサ木にかけるという2〜3時間くらいの作業で、汗ぐっしょりになりました。立ち並ぶハサ木に架けられた稲が秋の陽射しで黄金色に輝きます。 花立温泉ろばた館 でひとっ風呂浴びてから、不動のみなさんと農工祭に向けて相談をしました。この日に干したハサカケ米を農工祭で販売しようという計画です。乞うご期待。 海辺の宿に泊まって、朝、海岸を散歩しました。ゼロメートルから不動の集落まではわずか15分です。 不動生産森林組合はブナなどの広葉樹材の活用に取り組んでいます。二日目は、作業道を入れてブナを間伐している場所に案内いただきました。朝は晴天だったのに、雨が激しくなってきて、慌てて不動山を下りました。 お昼には、住民の方が名立川の秘密の場所で手づかみで採ったイワナに、おにぎり、焼きナスをいただきました。イワナはすっきりとした清流の味でとても美味しかったです。いつものことですが、不動のみなさんと豊かな自然に本当にお世話になっています。心よりお礼申し上げます。 帰りの上信越、関越でものすごい豪雨になって、そのためなのかひどい渋滞になっていました。予定より2時間以上遅くなりましたが、公用車が頑張ってくれてなんとか無事に府中に戻れました。

学位記授与式

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9月11日に9月卒業・修了者の学位記授与式が行われました。学部2年生のときから一緒に研究してきた博士課程の周平くんがついに博士になりました。本当におめでとう。 翌12日にちょうど夏休みゼミがあったので、研究室メンバーでアットホームにお祝いの会を開きました。

アジア農村社会学会

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京都の龍谷大学大宮キャンパスで開催された第7回アジア農村社会学会( ARSA )に日帰りで参加してきました。 龍谷大学大宮キャンパスは、京都駅からすぐの西本願寺に隣接しており、明治期に建築された美しい建物が現在も使われています。写真の 本館 は「擬洋風建築」と呼ばれるもので、実は木造建築だそうです。 国際学会の準備は本当に大変です。龍谷大学をはじめ大会運営にたずさわった先生方に心よりお礼申し上げます。

東大駒場

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生物学史分科会 の夏の学校に参加するため、久しぶりに東大の駒場キャンパスにお邪魔しました。「生物学史とコロニアリズム」のセッションが興味深く、パインの栽培に成功したAgnes Blockの話が印象に残りました。 たまたま駒場博物館で開催中だった「 日本農芸化学会創立100周年記念展 」を覗くこともできて、脚気薬のオリザニンがいかに重要だったのかを学びました。当たり前のことではありますが、林学は、農学とシンクロすることが多く、工学的な林産や木材化学も本流から分岐して発達しました。三浦伊八郎の業績など、これまで林学のなかの論理ばかり考えていましたが、農学からの影響も重要そうです。