筒井先生の思い出

去る2018年11月18日、筒井迪夫先生が享年93歳で天寿を全うされました。20日に田無山総持寺大日堂斎場で行われたお通夜に参列させていただきました。
先生に最後にお目にかかったのは、2015年4月に田無演習林で開かれた恒例のお花見のときでした。足が悪くなっていらしたので、シートの上に置いた小さな椅子にちょこんとお座りになって、もう大方散ってしまった山桜をそれでも嬉しそうに眺めていらっしゃったのを思い出します。
東大林政学研究室の第5代教授である筒井先生は、林野共同体論や森林文化論で多くの著作を残しました。自分が林政学研究室にお世話になった当初(1999年ごろ)は、まだ大変お元気で「鯖の道研究会」という集まりを主催されていました。この集まりの後、農学部正門近くの中華屋「大鵬」から出前を取って林学会議室で食べるのが決まりでした。
「日本林制史資料」の元原稿が農学部図書館に保管されていますが、これは第3代教授の島田先生が筒井先生に託されたもので、総合図書館や山林会、徳川林政史研究所にある元原稿と異なる部分があります。当時(2004年、2005年ごろでしょうか)、筒井先生は、この突合作業をどうしてもやっておきたいとおっしゃって、自分も少しお手伝いをしたのですが、作業が道半ばなことが心残りです。
自分が博士論文を出すときには、発表会に来てくださりました。福祉や年金のような「welfare」として林野が用いられることがあり、学校林との類似があるといったコメントをいただいたことを、お焼香をしながら思い出しました。
お通夜の後、大橋先生、永田先生、土屋先生、井上先生、古井戸先生、安村先生、柴崎先生と一緒に昔話をしました。筒井先生の博論の副査に渡辺洋三先生が入っていて、そのために「林野共同体の研究」に「森林法の軌跡」を加えるようなかたちになったというお話は驚きでした。井上先生が、筒井先生の林政学の講義で入会研究の面白さを知ったというお話もあり、改めて講義の重要性を認識しました。
いつも「入会は林政の母」とおっしゃっていた小柄な先生は偉大な林政の先生でした。心よりご冥福をお祈りします。




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